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仏領ギアナの中心都市カイエンヌで2017年10月、現地の住民と話すフランスのマクロン大統領(中央)=ロイター

 南米の仏領ギアナでフランスが進める刑務所の建設計画が、「植民地主義の復活」などとして批判を浴びている。仏政府は本土で深刻化する麻薬をめぐる犯罪対策の一環として、刑務所内に麻薬密売人の幹部らを収容する専用棟の設置を目指すが、流刑地だった過去を思わせる計画に現地から反発の声が出ている。

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 計画は、ダルマナン司法相が5月中旬に明らかにした。2028年の開設を目指す刑務所は総工費約4億ユーロ(約680億円)で最大500人を収容する。施設内に建設する60人向けの専用棟では、密売組織のトップなど重大な麻薬犯罪に関わった受刑者を厳重な警戒態勢のもとで管理することを想定している。

 フランスでは密売組織のトップらが刑務所から携帯電話で麻薬取引を指示することなどが問題になっている。新たな刑務所の建設計画の背景には、本土から遠く離れた土地に組織の幹部を隔離することで外部との接触を遮断し、麻薬取引を根絶する狙いがある。

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 これに対して、現地の議員らは声明で「仏領ギアナは本土の犯罪者を受け入れるための場所ではない。流刑地を再現するような刑務所計画に断固反対する」と表明した。

 仏領ギアナは植民地としてフランスの海外県になった歴史を持ち、かつては仏本土の犯罪者を送る流刑地でもあった。現在は南米からフランスに向けたコカインの主要な密輸入ルートになっていると指摘されており、仏政府は仏領ギアナから本土に向かう航空便の乗客らに対して取り締まりを強化している。

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