フランス各地で10日、大規模な反政府デモがあり、参加者がマクロン大統領の辞任などを要求した。同国では2年足らずの間に首相が4人交代し、政治の混乱が続いている。この日就任したルコルニュ新首相も、初日から市民の強い反発にさらされることになった。
マクロン氏は9日、バイル前首相の後任にルコルニュ氏を指名。生活費の高騰や公的サービスが削減されるなか、市民の間ではマクロン氏や政府に対する不満が募っており、今回のデモは、バイル氏が訴えた大幅な歳出削減案への反対を掲げて全国に広がった。仏内務省によると全国で約17万5千人が参加した。
パリでは午前中から人々が主要駅に集結し、「マクロン辞任!」などのかけ声を繰り返した。参加した学生の男性(26)は、「歳出削減は人々を苦しめるだけだ。生活は厳しいのに、政府は私たちの声に聞く耳をもたない」と批判。マクロン氏が自らの側近のルコルニュ氏を新首相に指名したことを強く非難した。
パリ中心部のレストランでは10日午後、火災が発生。デモ隊による放火とみられ、警察が捜査に乗り出した。仏内務省は10日夕、デモに絡んで全国で473人を拘束したと発表した。18日にも労働組合の呼びかけで、再び大規模なデモが行われる予定。