カンボジアのフン・セン前首相は26日、タイとの領土紛争が激化している国境沿いのプレアビヒア州で、避難民らを前に演説した。盟友関係にあったタイのタクシン元首相の一家に向けて「私を挑発すれば、タイの王室を侮辱した(タクシン氏の)発言を含め、秘密を暴露する」と警告した。主要紙クメール・タイムズが報じた。
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同紙によると、フン・セン氏は演説の中で「深い失望」を示し、その理由について「これまで支援してきたにもかかわらず、タクシン一家が政治的利益のために国境紛争を悪化させ、カンボジアを裏切った」と説明したという。
両氏をめぐっては、2009年、軍事クーデターで失脚し、国外逃亡中だったタクシン氏を当時カンボジア首相だったフン・セン氏が経済顧問に任命。タクシン氏が15年ぶりに帰国し、収監から半年で仮釈放された昨年2月には、フン・セン氏がバンコクを訪れて面会するなど親交があった。
しかし、今年5月、国境地帯で両国軍の銃撃戦が起き、カンボジア兵1人が死亡すると両国関係が悪化。事態の打開を求めてタクシン氏次女のペートンタン首相がフン・セン氏に電話をし、「おじさん」と親しげに呼びながら自国軍幹部を批判した音声がカンボジア側から流出。窮地に立たされたペートンタン氏は、軍や国民への謝罪を余儀なくされ、フン・セン氏に対する批判に転じた。
「父と伯母を救った者に対する侮辱」
フン・セン氏は27日、州の…