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写真・図版
ぶぅふぅうぅ農園で生まれた子ブタたち。品種改良が進み、姿形はイノシシと大きく変わっている=山梨県韮崎市、工藤隆太郎撮影

 JR大分駅(大分市)から東に3キロほど行くと、大分川を渡った先で、住宅街を流れる七歩川に行きあたる。ほとりに沿って桜の木が植えられ、ゆったりと魚が泳ぐ小さな流れは、別府湾につながっている。

 住宅や商業施設が立ち並び、しのべるものは何もないが、このあたりに「下郡桑苗(しもごおりくわなえ)遺跡」と呼ばれる弥生時代の集落跡があった。七歩川の改修工事にともなって1988年から発掘調査が行われると、弥生時代前期から中期の土器や、くわなど木製の農耕具、樹木の伐採に使う石斧(せきふ)などとともに、数多くの動物の骨が出土した。

 その中から約2500年前の、ブタと考えられる頭蓋骨(ずがいこつ)や下顎骨(かがくこつ)などが多数みつかった。骨の分析にあたった西本豊弘・国立歴史民俗博物館助教授(当時)は調査報告書にこう記した。「この遺跡で最も注目すべきことは、弥生時代にブタが飼養されていたことがはじめて明らかとなったことである」

発見された「弥生ブタ」

 保存状態の良い頭蓋骨が出土…

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