Chinese Car Giants Rush Into Brazil With Dreams of Dominating a Continent
交通渋滞のブラジル・サンパウロから車で2時間。サトウキビ畑が延々と続く山あいの平地を走り抜けた場所で、南北アメリカ大陸で初となる、中国企業の電気自動車工場の一つが操業準備を進めている。
中国がアジアの多くの地域ですでに実現し、欧州にも食指を動かしているように、ブラジルの自動車市場、そしていずれは中南米諸国全土で車市場の地図を書き換えることが、工場進出の目的だ。
この工場は近年まで、ガソリン車の大量生産で20世紀の自動車産業に変革をもたらしたドイツの巨大企業メルセデス・ベンツが運営していた。現在の所有者は中国の長城汽車。中国の主要企業で、手ごろな価格ながらスタイリッシュな電気自動車を輸出している。
この所有者交代は、世界でも最も重要な産業の一つが陥った深刻な混乱を反映している。ガソリンをがぶ飲みする米国や欧州の車がかつて世界の嗜好(しこう)や流行を主導する存在だったのは事実でも、それは過去の話であり、時代は中国に有利な方向へ急速に進んでいるようだ。
中国は今日、あらゆるタイプの自動車を、世界のどの国よりも多く製造・輸出しているだけでなく、将来の電気自動車の製造でも世界で優位に立っている。さらには、自動車に組み込まれる事実上すべての部品のサプライチェーンを中国企業が牛耳っている。
中国の電気自動車は世界で最も先進的な車両の一つだ。今では、1回の充電で米テスラの最高級車と同等の走行距離を実現しながら、より低価格の車種もある。「Build Your Dreams(あなたの夢を築こう)」の頭文字を並べて社名にした中国の自動車メーカーBYD(比亜迪)は、わずか5分間でフル充電できる技術を開発した。ガソリン車の給油に要するのと大差ない時間だ。
中国でテスラの販売が低迷し、米国のバイデン、トランプ両政権が中国車の輸入を実質的に禁止してきたのも無理はない。
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