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【ニュートンから】楽器のサイエンス(4)

写真・図版
楽器のサイエンス

 演奏家は最高の音楽を届けるために,つねに楽器に対して細かな調整を行っている。楽器は気温や湿度の変化によって出る音の高さが変わるためだ。とくに弦楽器は気温が高いと弦がのびて張力が低下するため,音高が下がる。気温が低いと弦が収縮し,音高が上がる。そのため糸巻をまわすなどして音高を微調整する。

 反対に管楽器では,気温が高いと音高が上がり,低いと音高が下がる。これは気温が上がると空気分子の運動が活発になり,音速が速くなるためだ。したがって,仮にヘリウムガスなどの軽い気体を吸った状態で管楽器を吹くと,音高は高くなる。

 音高の微調整は,管の接続部分を少し引きだして管をのばしたり,吹きこむ息の量や口の形を変えたりして行う。音高は演奏中にも変化する。管楽器では,演奏しつづけると息によって管内の空気が温められ,音高も上がっていく。プロの演奏者は周囲の音を聴きつつ,弦楽器では弦をおさえる場所を変えたり,管楽器では息の吹きこみ方を変えたりして,つねに音高をコントロールしている。

材質が楽器の音色を左右する

 楽器はどんな材料でできてい…

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