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 米国のトランプ大統領が、「生物学的な男女」のみを性別として認めるなどとして、トランスジェンダーの権利を否定する大統領令に署名したことを受け、当事者団体「Tネット」(野宮亜紀、木本奏太共同代表)は23日、「社会のリーダーであるべき政治家が率先して、差別や排除を促すことに強く抗議する」などとする声明を発表した。

 声明は「カミングアウトをする人も少なく実態が知られていないトランスジェンダーを標的とし、人々の敵意を煽(あお)ることで支持を得ようとする姿勢は、とうてい容認できない」とし、「日本国内においても見られる差別的な言説や、社会の分断が加速されることを懸念する」と述べた。

性的マイノリティーの子から「安心して学べる場を奪う」

 具体的には、生物学的な男女のみを性別とするような定義が強制されれば、「すでに社会生活上の性別を移行して暮らしているトランスジェンダーの人びとのプライバシーが暴かれる」と指摘。性別を移行して暮らしている人びとの性別の登録が変更され、出生時に決められた性別に戻される事態を念頭に、「社会的な性別のあり方と性別の登録が一致した状態から矛盾した状態へと変えられ、就労や渡航において偏見にさらされ、トラブルに巻き込まれる」と懸念を表明した。

 さらに「トイレなどの施設利用に関しても混乱を生み出す」として、「男性として生活し、周囲とも男性として人間関係を構築しているトランスジェンダーの男性は、連邦政府の施設を利用する際に女性トイレを使用することを強制される」といった例を挙げた。

 大統領令は、同性愛者なども含めた性的マイノリティーの児童・生徒を保護する教育省の指針などの撤回も求めている。声明は「弱い立場に置かれた子どもたちから、安心して学べる場を奪うことは、未来の可能性を大きく狭めることにつながる」とも指摘した。

 声明は、Tネットのホームページ(https://tnet-japan.com/)に掲載されている。

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