国連欧州本部の前に設置された高さ約6メートルのモニュメント。子どもを抱き、生命の構成要素であるDNAの巨大な鎖が絡まった人が、「母なる地球」に座る。その地球はプラスチックごみに埋もれている。地球環境と人々の健康に影響が広がっていることを意味する=2025年8月4日午後4時50分、スイス・ジュネーブ、玉木祥子

 昨年合意を見送った、プラスチックごみ汚染に対処する国際条約づくりの政府間交渉会合が5日、再開された。スイス・ジュネーブで、14日までのとりまとめを目指す。交渉は難航が予想されるが、条約を求める声も強まっている。

 2022年の国連環境総会で、条約策定に向けた交渉を進めていく方針が決まり、5回の交渉会合を開き、24年末までに条約の中身をまとめることとなっていた。だが、昨年11~12月に約1週間にわたって開かれた最終会合では妥結できず、合意が持ち越しとなった。

 今も、生産規制の世界共通の目標を設定し、持続可能な水準をめざすかどうかについては、意見の隔たりが大きい。今回の会合までの間、各国は非公式の協議を重ねてきたが、議論の落としどころを見いだすことはできていない。環境省の担当者は「なかなか最後まで合意するのが難しそうだ」と話す。

国連欧州本部の前で強力なプラスチック条約を求めて声をあげる人たち。条約交渉が始まる前日、「CUT PLASTIC PRODUCTION. DON’T FUEL OUR DESTRUCTION. STRONG TREATY NOW!」というメッセージを掲げて訴えた=2025年8月4日午後4時14分、スイス・ジュネーブ、玉木祥子撮影

 一方で、6月には化学物質や廃棄物による汚染問題の科学的根拠を示す政府間組織が設立された。プラスチック条約ができた場合にも、対策の信頼性を高めることが期待される。NGOや市民団体からは、生産段階を含めた規制を盛り込んだ条約を支持する声明が相次ぐ。合意への圧力と期待は高まっている。

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