1月下旬、東京・渋谷の高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」。横浜DeNAベイスターズの新人9選手が真新しいスーツに身を包み、DeNA本社を訪れた。
迎え入れたのはDeNAの創業者で、球団の南場智子オーナー(62)だ。2015年から10年以上続く開幕前の恒例行事は、ルーキーに「プロフェッショナルとは何か」を伝える場でもある。
新人選手との名刺交換を終えると、南場オーナーは1時間弱の講演を行う。球団の親会社であるDeNAの事業紹介から始まり、11年の球界参入以降の歩みを振り返る。そして、「強いチームをつくる大きな担い手となってほしい」と笑顔で語りかけた。
南場オーナーは津田塾大を卒業後、米コンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、1999年にDeNAを創業。日本屈指のIT企業へと成長させた。
球団経営でも本拠地・横浜スタジアムを買収して改修を進めるなど、チーム強化と並行してファン獲得に取り組んだ。参入前の2011年シーズンに110万人だった入場者数は、24年に球団史上最多となる235万人に上った。
南場オーナーが新人への講演を始めたのは、経営者や事業家、会社で働く人と、プロ野球選手に共通点があると考えるからだ。
講演の中盤、和やかだった会場の雰囲気がにわかに引き締まった。
スクリーンに「消えない記録の始まり」と映し出されたときだ。
ルーキーの門出は、プロフェ…