ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して、トランプ米大統領はなぜ圧力強化に踏み切らないのでしょうか。そして、停戦の行方は。レーガン政権から第1次トランプ政権まで国務省や国防総省で要職を務め、対ロ交渉の経験も豊富な米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」ユーラシアセンターのデブラ・ケーガン上級顧問に聞きました。

2025年8月15日、米アラスカに到着したロシアのプーチン大統領(左)と言葉を交わすトランプ大統領=AP

 ――アラスカでの米ロ首脳会談を経て、ウクライナでの停戦は近づいたのでしょうか。

 停戦に関する進展は全くなかったと思います。ロシア側は依然として自らが優位にあり、現在の行動をやめる理由はないと考えているでしょう。攻撃を止めざるをえない立場に追い込まれる要因が何もないからです。

計算づくのロシア 首脳会談直後に米企業を攻撃

 ――会談直後にはウクライナ西部にある米企業が攻撃されました。

 ロシアがこの戦争でやっていることは全て計算ずくです。米国の工場を意図的に狙ったのは「運転席にいるのは我々だ(主導権はロシアにある)」というメッセージを発するためです。我々(米国)は彼らを運転席から追い出すために必要なことを何もしていません。

  • ウクライナで米工場がほぼ全焼 プーチン氏との写真喜ぶトランプ氏

 ――トランプ氏は腹を立てないのでしょうか。

 トランプ氏は独裁的な政策を…

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