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会談前に栄誉礼・儀仗(ぎじょう)を受ける日米両国の防衛相=2025年3月30日、東京・市谷の防衛省、代表撮影

 中谷元・防衛相と来日中のヘグセス米国防長官は30日午前、東京・市谷の防衛省で会談した。ヘグセス氏が1月に就任して以降、両氏の対面式の会談は初めて。ヘグセス氏は会談冒頭、「かつてないほどに日米同盟が強固だ」と強調し、中国軍を抑止するうえで「日本は不可欠なパートナーだ」と語った。

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 中谷氏は冒頭、前日29日にヘグセス氏とともに太平洋戦争における激戦地・硫黄島を訪問したことに触れ、「80年前には、激戦をまじえた両国が世界で最も成功した重要な同盟国となり、地域の平和と安定を保っていることを確認できたということは大変、意義深く思う」と語った。そのうえで、今月24日に陸海空自衛隊を一元的に指揮する防衛省・自衛隊の「統合作戦司令部」が発足したことに言及し、「日米の指揮統制の枠組みの向上の発展を感謝、歓迎する」と語った。また、ヘグセス氏がハワイを訪問した際に、日本は重要な同盟国であり、インド太平洋地域における中核であることを表明したことを評価したうえで、「自由で開かれたインド太平洋の実現のために、お互いに最も信頼するパートナーであり、日米緊密に今後とも連携をしていきたい」と語った。

 一方、ヘグセス氏は「明確にお伝えしたいことは、かつてないほどに日米同盟が強固だということだ」と強調したうえで、「トランプ大統領も同様に『日米関係はすばらしい』と言っている」と語った。また、今回の日米防衛相会談について「台湾海峡を含む、この地域における抑止力の必要性について議論をするのを楽しみにしている。日本は中国共産党の軍事侵略を抑止する上で不可欠なパートナーだ」とも語った。

 今回の日米防衛相会談では、バイデン政権下で日米が進めた自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化をめぐり、どのような議論が交わされるかも焦点の一つだった。米側はバイデン政権下の昨年7月、在日米軍を再編し「統合軍司令部」を新設する方針を表明。新設された防衛省・自衛隊の「統合作戦司令部」のカウンターパートになる組織で、両国は指揮統制の連携強化を打ち出した。

 ヘグセス氏は会談後の共同会見で、在日米軍司令部の再編をめぐり、「統合軍司令部」への格上げに向けた第一段階を始めたと発表。自衛隊の統合作戦司令部との作戦上の調整能力を向上させるため、在日米軍司令部の人員を増員し、「司令官に新しい任務を遂行するために必要な権限を与える」との考えを示した。一部米メディアは今月、トランプ政権が経費削減策として、在日米軍の態勢強化計画を中止する可能性があると報道していた。

 一方、日本の防衛費をめぐっては、国内総生産(GDP)比で2%に増やす日本政府の方針に対し、米国防次官に指名されたコルビー氏は少なくとも3%に増やすよう求めており、日本の防衛費増などについて米側がどのような要求をするかも注目された。中谷氏は共同記者会見で「(防衛費の)特定の数字については会談では出ていない」と強調した。

 会談では他にも、自衛隊と米軍の共同訓練の促進や、防衛装備品をめぐる協力についても協議した。

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会談冒頭握手する中谷元・防衛相(右)とヘグセス米国防長官=2025年3月30日、東京・市谷の防衛省、代表撮影

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