政府が調達する輸送ヘリなどの防衛装備品が軒並み高騰している。2024年度当初予算の主な装備品の購入価格と、19~22年度の平均価格を比べると、約1・5倍に膨らんでいることが分かった。歴史的な円安や資材の高騰などが原因だ。政府は27年度までの5年間で、防衛費を大幅に増やして総額43兆円程度にする計画だが、枠内に収まるかは分からない。
岸田文雄首相は「43兆円の規模を超えることは考えていない」と話すが、早くも自民党内や防衛産業から増額を求める声があがる。防衛力強化の財源となる防衛増税の開始時期の決定が2年連続で先送りされるなか、増額すれば財源はよりあいまいになりかねない。
昨年、財務省の審議会が価格上昇の大きい例として大型ヘリや輸送機、潜水艦、戦車など7種類の装備品を取り上げた。それらの装備品について、朝日新聞が3月に成立した24年度当初予算に計上された購入価格と、18年度に決めた中期防衛力整備計画での平均価格(19~22年度)を比べた。
防衛省によると、隊員や物資の輸送に使われる大型輸送ヘリCH47(チヌーク)の場合、19~22年度の平均価格は1機あたり76億円。それが、予算では陸上自衛隊保有分が176億円、航空自衛隊が196億円となり、2・3~2・5倍に膨らんだ。
日本海域を監視する固定翼哨戒機「P1」も、部材の高騰などで1・45倍となる325億円に価格が上がっている。リチウムイオン電池を搭載する最新型の潜水艦「たいげい型潜水艦」は、1・34倍の950億円で、製造に使う鋼材や半導体などの上昇が響いた。
7種類の価格は平均で47%増えた。これ以外の装備品も値上がりしている。
背景にあるのが、円安や資材…