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 ベトナムを拠点とした特殊詐欺に関与したとして、埼玉県警などは同県川口市中青木4丁目、無職川原林由徳容疑者(40)ら20~40代の7人を詐欺容疑で逮捕し、27日発表した。いずれも容疑を否認しているという。

 また県警は同日、住所不詳無職、八田公洋容疑者(37)を公開手配した。9月23日午後3時20分ごろ、川口市内の駅にいたことが確認されたという。八田容疑者がこの特殊詐欺グループのトップ、川原林容疑者がナンバー2で、当初はカンボジアにあった拠点を昨年9月にベトナムへ移したとみている。

 ほかに逮捕されたのは、住所職業不詳、田中俊容疑者(25)ら。

 組織犯罪対策3課によると、8人は別の人物らと共謀し、昨年11月22日、新潟県加茂市の女性(当時60)のスマートフォンに「ご利用料金についてお話ししたいことがある」「指定の電話番号にご連絡ください」などとショートメールを送信。その後、金融機関の職員などを装って「インターネットサイトの登録料金等が未払いになっている。裁判を回避するためには料金を支払ってもらう必要がある」などと電話で伝え、同11月22~24日、4回にわたって現金約79万9千円を指定口座に振り込ませた疑いがある。

 八田、川原林の両容疑者はベトナムの拠点の運営資金を出したり、口座の調達をしたりするなど管理的な役割で、他の6人はかけ子とみられる。相互に偽名で呼び合っていたという。

 東京、北海道、福井など11都道県で25件(被害総額計2933万4920円)の詐欺に関わったとみられる。被害金は暗号資産に変換し、アメリカドルやベトナムドンに現金化し、給料として支払われていたという。

 拠点はベトナム当局が昨年12月に摘発した。その前には、カンボジアを拠点として特殊詐欺に関与していた疑いがあり、カンボジアに拠点を置く別の日本人詐欺グループが昨年9月に現地当局に摘発されたことを機に拠点を移したとみられる。押収した犯行マニュアルや名簿リスト、複数のスマートフォンなどの捜査から容疑者らが浮上したという。(山田みう、浅田朋範)

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