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2024年11月にハノイ郊外にオープンした戦争博物館=2025年2月25日、牧野愛博撮影

 2025年はベトナムと米国にとって意義深い年にあたる。4月30日はベトナム戦争終結50周年、7月11日は国交回復30周年、9月2日は米国情報機関OSSが支援したベトミン(ベトナム独立同盟)がベトナム民主共和国の独立を宣言してから80周年にあたる。ベトナム共産党幹部らの教育機関、ホーチミン国家政治学院(HCMA、ハノイ)の関係者らは、ベトナムが米国と親しい関係を築いた背景には、様々な要因があったと指摘する。

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 ベトナムの人々にとって、ベトナム戦争とは何だったのか。HCMAのウオン・ビエット・サーン博士によれば、ベトナム戦争は外国の言葉で、ベトナムの人々は「祖国を救うための抵抗戦争」と呼ぶ。ベトナムの政府・党は「世界で最も残虐な戦争」とも認識しているという。

 昨年11月にハノイ郊外にオープンした戦争博物館には、抗仏独立闘争とともにベトナム戦争当時の写真や兵器などが詳しく展示されている。展示の特徴のひとつが「ベトナム全国民の団結」だ。館内にはベトナムの学生らが「米国はベトナムから出ていけ」と書いた横断幕、女性兵士の写真や衣服なども飾られている。

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