看板を民家の倉庫の壁に取り付ける松田保夫社長。現在は新潟県長岡市とその近郊に「500枚ほどある」という=新潟県長岡市内

 全国にファンがいるペットショップの看板がある。3種類の犬の顔が横に並ぶデザインで、現在ある約500枚はすべて手書き。よく見ると表情などは一枚ずつ微妙に違い、それを紹介する本が出版されたり、特徴のある「レアもの」を探しに訪れる人がいたりするなど、人気となった。一人の絵師の作だが、高齢となり、四半世紀を経てこのほど「新人」に交代した。

 看板は、新潟県長岡市の「松田ペット」が宣伝用に作っているもの。小型犬を扱い始めた2001年ごろ、松田保夫社長(80)が掲げ始めた。500枚ほどが同市や近郊の街角にあるという。

 描いてきたのは、隣の同県小千谷市で看板店を営む近藤忠男さん(91)。松田社長とはペット店が金魚を扱っていた約半世紀の付き合いで、「生き残るためにインパクトのある看板にしたい」との松田社長の思いを受け、デザインを考えた。狙ったのは「温かみのある絵」。横約180センチ、縦約90センチの看板に、当時人気があったビーグル、チワワ、ヨークシャーテリアの3匹をメインに、並べて描くことにした。

 当初は松田社長から渡された写真を参考に描いていたが、すぐに慣れ、そらで描き始めた。「全部同じに描いている」と言うが、顔の向きが逆だったり、並び順が異なったり、表情がりりしかったり、優しかったり……。パターンの種類は松田社長も「分からない」という。

 この違いに気づいたのが、長…

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