ホロコースト生存者の映像と対話できるAIを利用したユダヤ人遺産博物館の新しい展示のためのインタビューに応じる93歳のアリス・ギンズバーグ氏=ニューヨーク・タイムズ

Long After Surviving the Nazis, They Use AI to Remind the World

 マンハッタン島の最南端にあるユダヤ人遺産博物館は、ホロコーストを記念する他の施設と同様に、ナチスによる残虐行為や人々が耐え抜いたさまざまな道のりについて、長い間、生存者の生の証言を頼りにしてきた。

 しかし、生存者が少なくなりつつある中(彼らのほとんどは80代か90代だ)、博物館は、文明社会がいかに簡単に、理解不能な野蛮行為と組織的な大量虐殺に陥る可能性があるかを、将来の世代に伝える最も効果的な方法を見つけようと取り組んでいる。

 「私が気にかけているのは、あなた方の孫の孫が何を知るかということだ」と、生存者の息子で、博物館長兼CEO(最高経営責任者)のジャック・クリガー氏は言う。

 クリガー氏が「生存者後の世界」と呼ぶ計画を進めるにあたり、博物館は単に人々が自分たちのつらい体験を語る録画ビデオを提供することもできたはずだ。しかし、博物館関係者はそのようなアプローチでは、何が起こったかについて断片的で誤解を招く危険性があると懸念した。例えば、強制収容所の収容者の証言を見た人が、ホロコーストの生存者全員が第2次世界大戦中は強制収容所で過ごしたと考えてしまうかもしれないからだ。

 その代わりに、博物館は最も幅広い体験と背景を描く作業に適した技術、つまり人工知能(AI)を使うことにした。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

AIを使った新たな展示で、来館者はどんな体験ができるのでしょうか。新しい展示に協力した生存者たちの思いも語られます。

 博物館の新しいAI搭載の展…

共有
Exit mobile version