世界陸連(WA)が主催する陸上の第20回世界選手権東京大会は、前身の国際陸上競技連盟(IAAF)時代から、日本企業が長く支えている。現在パートナー契約を結ぶグローバル企業5社はアシックス、ホンダ、セイコー、ソニー、TDKとすべて日本発。メディア部門にはTBSが名を連ねる。
WAのセバスチャン・コー会長は「我々と同じ理念や価値観を持つ企業たちだ」と感謝する。なぜ世界の陸上大会を長く支援するのか。スポンサーの狙いや思いを聞いた。
「工事現場じゃないんだから」
世界記録を出した選手が黄色いタイマークロックに歩み寄る。数字を指さし記念撮影に応じる。
陸上の国際大会でおなじみの光景だ。男子100メートルで人類最速の9秒58を出したウサイン・ボルト(ジャマイカ)も、2009年の世界選手権ベルリン大会で、恒例の「儀式」を行った。
セイコーは世界選手権でタイムや距離を刻むオフィシャルタイマーを担う。
機材のカラー黄色と黒は当初、社内で「工事現場じゃないんだから」と反対意見も出た。企業カラーの青色になる可能性もあった。いまは英断だった、と評判もよい。
セイコーは1985年、世界陸連(WA、当時は国際陸連)とパートナーシップ契約を結び、世界選手権は87年の第2回ローマ大会から関わる。
今年8月現在、オフィシャルタイマーを務めたのは世界選手権を含めて202大会にのぼる。世界選手権で計測した世界記録は34回を数える。91年東京大会の男子走り幅跳びでマイク・パウエル(米国)がマークし、今も君臨する8メートル95も含まれる。
なぜ陸上に長く投資しているのか。
コーポレートブランディング…