米西部ワシントン州レントンにある米ボーイングの施設の看板=AFP時事

 米航空機大手ボーイングで約7週間続いていたストライキが、ようやく収束することになった。労働組合が4日、38%の賃上げを含む新たな労働協約の受け入れを決めた。航空機の生産も6日から順次再開する。ボーイングは難所を一つ乗り越えたが、安全や品質をめぐる問題は根深く、経営立て直しは容易ではない。

 米西部シアトル周辺の工場で働く機械工ら約3.3万人が加わる労組は9月13日、約16年ぶりのストに突入。小型機「737MAX」などをつくる工場群が操業を止めた。新たな労働協約では、4年間での賃上げ率がスト開始当初の25%から38%まで上積みされ、年金の拡充や1.2万ドル(約180万円)の一時金支給なども盛り込まれた。組合員による4日の投票では59%が受け入れに賛成した。

 これでストは終わるが、経営はなお視界不良だ。2018年と19年の連続墜落事故にコロナ禍が重なり、23年まで5年連続で最終赤字だった。今年7~9月期も61.7億ドル(約9400億円)の巨額赤字を計上し、通年で6年連続の赤字となる公算が大きい。世界の従業員の10%にあたる1.7万人を削減する方針を示すなど、リストラや資金繰りに追われる。民間機でも防衛・宇宙でも開発の遅れや予算超過が目立ち、将来の収益源も育っていない。

 こうした苦境は、歴代の経営…

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