上杉真人さんが手がけたボードゲーム=名古屋市、谷本結利撮影

 盤や駒、カードを使ったボードゲームは近年、大人の趣味としてすっかり定着した。運と戦略性がほどよく交じった新しい遊びが世界中で日々生まれるなか、上杉真人さん(38)は、まだまだ珍しい専業のゲームデザイナーとして活動している。発想の源はどこにあるのか。

 「ボードゲームの魅力は箱の中に一つの世界が詰まっているところ。開けた時に世界が広がって、遊び終わると箱の中に戻る。現実で起きる物語を限られた時間の中でモデル化するのが映画なら、現実社会の仕組みをモデル化するのがボードゲームだと思うんです」

 テレビゲーム機の進化と共に育った世代。物心ついた1990年代初頭はスーパーファミコンの全盛期で、目新しい遊びが次々と生まれていた。当時のテレビゲームは今よりも少人数で作られており、文学や映画のような「作家性」が感じられた。いつかは自分も作ってみたいと思っていた。

 大学に入り、海外で新世代のボードゲームがはやっていると知った。ドイツ生まれの「カタン」に代表される、運と戦略性がほどよく交じったゲーム群。アナログなゲームなら個人でも作れると思い、会社勤めのかたわら制作を始めた。

 最初に世に問うたのは2011年の「ヴォーパルス」。国同士の100年にわたる覇権争いを短時間で楽しむゲームだが、発想は高校野球への興味からだった。野球自体より、どんなに強い学校でも選手が卒業するたびにチーム力が上下するのが面白かった。そんな世代交代を「経年」というメカニクス(仕組み)に落とし込んだ結果、ユニークなゲームに仕上がった。

 ブレークしたのは次作「ダン…

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