日本で東京都知事選が行われているさなかに、中東の地域大国イランでは大統領選が行われていた。

 4人が争った第1回投票を経て、7月5日の決選投票へ。米欧との対話に前向きな改革派候補が保守強硬派の候補との一騎打ちを制し、23年ぶりに勝った。

 ふりかえると、厳しい規制のもとではあるものの、それなりに活発な政策議論が繰り広げられた大統領選だった。

【連載初回はこちら】日本とこんなに違うの!? 世界の選挙戦

ポスター枠の販売や演説妨害などが相次ぎ、選挙が荒れています。今年は世界各地で大型選挙が行われる「選挙イヤー」ですが、海外の実態はどうなのでしょうか。特派員が感じた日本との違いを、世界から報告します。

イラン大統領選の保守強硬派候補、ジャリリ元最高安全保障委員会事務局長の集会に参加する支持者=2024年7月3日、テヘラン、佐藤達弥撮影

 3469人に対して31人。2009年から今年まで計5回行われた大統領選に立候補を希望した人と、事前審査で正式に立候補を認められた人の数だ。「合格率」は0.9%で、1千人のうち9人しか通過できなかった計算になる。

 事前審査をするのは、最高指導者ハメネイ師の影響下にあるとされる機関「護憲評議会」だ。政治経験や現体制への忠誠などから審査するとされるが、ハメネイ師の意向に沿わないとみられた有力政治家が失格となる例もたびたびある。

勝負の場は街頭ではない

 では、事前審査をくぐり抜け…

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