水俣病の公式確認から69年となる5月1日の慰霊式を前に、浅尾慶一郎環境相が4月30日、熊本県水俣市で被害者団体との懇談に臨んだ。昨年の懇談で起きた「マイク切り」の反省から、今回は2日間の訪問日程を組んで被害者らの声を聞いた。市内の関係施設も訪問した。だが、健康調査の実施手法など具体的な議論はかみ合わないまま懇談は進み、国と被害者側との溝を際立たせる形になった。
昨年10月に就任した浅尾環境相の水俣訪問は初めて。30日午後には、昨年の懇談に参加していた8団体のうち6団体が加盟する水俣病被害者・支援者連絡会と面会。冒頭、昨年の懇談について「不適切な運営だった。改めておわびします」と陳謝。今回から共催者として参加した木村敬知事も「十分な対応ができず、心から反省している」と述べた。また、市内の施設を訪れた感想を問われ、「一生懸命取り組みをされていることに対して心から敬意を申し上げる」と語った。
懇談には、「胎児性水俣病」と診断され、患者認定を申請したものの棄却が続いてきた水俣市出身の大戸迫智さん(59)も出席。「ちゃんと(水俣病と)認めてほしいです」と大臣に訴えた。
マイク切りの運用「数年前から存在」だが…
だが、議論は序盤からすれ違…