フランスで7日に実施された国民議会(下院)の総選挙を受け、マクロン大統領は10日、国民に宛てた手紙を発表した。どの勢力も単独過半数に届かなかった結果について「誰も勝てなかった」とし、幅広い勢力による大連立を呼びかけた。しかし、首相指名をめぐる各勢力の意見の隔たりは大きく、連立交渉は困難に直面している。
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7日に投開票された総選挙では、事前の予測で第1勢力の座を確実視された極右の流れをくむ右翼政党「国民連合(RN)」が失速する一方、左派の政党連合「新人民戦線(NFP)」が最大勢力に躍進。マクロン氏率いる与党連合は2番手に終わった。
ただ、仏紙ルモンドの集計によると下院の定数(577議席)のうちNFPは182議席、与党連合は168議席、RNは共闘勢力と合わせて143議席となり、いずれも過半数に届かない。NFPと与党連合は選挙から一夜明けた8日以降、連立に向けた駆け引きを本格化させている。
NFP側から左派首相の指名を求める声が相次ぐなか、マクロン氏は沈黙してきた。背景には、マクロン氏が「極左」と呼んで攻撃してきた左翼「不服従のフランス(LFI)」がNFPに含まれていることがあるとされる。NFP内では、LFIが自党の実権を握るメランション氏の首相指名を強調するが、他の左派政党からは異論が次々と出ている。
一方、与党連合はLFIを除く左派や、中道右派で46議席を得た共和党を取り込む幅広い連立を検討。ダルマナン内相が「右派の首相であれば問題ない」と発言するなど、特に共和党との連立を模索する発言が相次いでいる。過半数に届かなくても、下院で最大の連立会派を形成し、首相指名の正当性を得る狙いがあるとみられる。
マクロン氏は選挙後初の意思…