「室戸春ぶり」をあしらった切り子細工のビン玉=しいな遊海くらぶ提供

 マグロのはえ縄漁などで漁網を浮かせるために使われていたビン玉(浮き玉)という漁具がある。割れにくいプラスチック製にとって代わられたが、かつてはガラス製だった。高知県室戸市には、ガラス製のビン玉を漁業文化の発信に活用している地域団体がある。

 室戸市椎名地区にある旧小学校舎を改修した「むろと廃校水族館」は、地元の定置網にかかったウミガメや魚がプールなどを泳ぐ様子が人気で、全国から観光客が訪れる。

 その観光客ら向けに、シーグラスや貝殻を使ったクラフト体験プランなどを提案しているのが、地域団体「しいな遊海(ゆかい)くらぶ」だ。2019年に発足し、いまは元漁師や漁師の家族ら6人ほどが活動している。

 ビン玉に着目したのは、メンバーの一人で、奈良県から移住して漁師と結婚した仙頭由紀さん(37)だった。移住から数年後の19年ごろ、地区の住宅の玄関先にさりげなく飾られていたビン玉を「美しいな」と思い、興味を持った。

「何に使うの」と言われたけれど

 漁師は、ガラス製のビン玉を…

共有
Exit mobile version