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ガンバ大阪戦でチームメートに声をかける横浜F・マリノスのGK朴一圭=3月16日、友永翔大撮影
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 昨年5月26日未明、サッカーJ1サガン鳥栖に所属していたGK朴一圭(ぱくいるぎゅ)(35)は、自宅の寝室にプロジェクターを用意し、生中継を見ていた。

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 横浜F・マリノスがアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝で、アルアイン(アラブ首長国連邦)との敵地での第2戦を迎えていた。

 かつてともに戦った仲間たちが、アジアの頂点をかけたピッチにいる。

 「ワクワクした気持ちと、うらやましい気持ち。色々な感情を持ちながら見ていた」

 結果は1―5の敗戦。ホームでの第1戦を2―1で制していたが、合計スコアで下回り、初のアジア制覇を逃した。

 「点差が開いても、最後まで勇敢に戦った姿に胸を打たれた」

 約1カ月後のリーグ戦でマリノスと対戦した。入場前に整列したとき、相手のGKポープウィリアムに声をかけた。

 「ACL、本当にお疲れ。誇りに思ってほしい」

 心の底から自然と出た言葉だった。

 2020年10月、マリノスから鳥栖へ移籍した背景には、ACLが大きく関わっていた。

 前年のJ1制覇に貢献したものの、ACLでは外国人枠の兼ね合いで、韓国籍だった朴がメンバーから外れた。マリノスは11月下旬から約1カ月間、リーグ戦を戦わず、ACLに臨むことになったが、J1は中断しない。当時のアンジェ・ポステコグルー監督に監督室へ呼ばれた。

 「試合から遠ざかってしまうのは選手としてもったいない。試合に出ることが大切だ」

 鳥栖の高丘陽平と、正GK同士が入れ替わる珍しい形で移籍が決まった。実質的な「トレード」だった。

 この出来事は、自身のキャリアを考え直す機会になった。

 「マリノスでタイトルを取る…

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