国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」の生育環境を改善するため、北海道釧路市は6月末から、湖内最大のチュウルイ湾(湖北部)に群生するマリモ減少の原因とされる水草の除去を始めた。2日、除去作業が現地で公開された。
阿寒湖は約40年前の下水道整備で水質が改善し、透明度が増したが、水草が増殖。15年ほど前から急速に勢力を拡大し、群生地では湖水の流れや波が阻害されるようになった。このため、球状のマリモは湖底から伸びる水草などで移動や回転による均等な光合成ができず、枯死や崩壊が目立つようになった。
群生地は国立公園特別保護地区だが、約10年前にも「放っておけば絶滅する」と、マリモ科学委員会の有識者からの提言を受け、チュウルイ湾の群生地に沖から波が達しやすいよう流路をつくる除去を試みた。除去後間もない2016年8月、台風で湖がかき回されて大量の水草が抜け、生育環境が一気に改善。マリモの一部は流失したが、水草を取り除くことの効果が確認できた。
これを受け、水草を継続的に除去し、効果を検証する事業計画が立てられた。しかし、マリモ科学委員会の中に水草の影響に対して異論や慎重論があり、計画は変更。実質的に除去対策がなされず、沖合では水草が繁茂してマリモの破損が進み、大型の球状マリモ集団が消失する事態になった。
これに対し、地元研究者らが…