マンガやアニメの原画の収集・保存や展示を担う拠点施設の整備に向け、文化庁は29日、クリエーターや学識経験者らからなる検討会を立ち上げた。まずは9月下旬までに拠点の役割や機能などの方向性を定める。同様の事業は2009年に「国営漫画喫茶」と批判され、政権交代を機に中止されたが、近年のコンテンツ産業の急成長などを受けて再び動き出した。
政府は6月に「新たなクールジャパン戦略」を策定。そのなかで原画などの収集・保存、展示などを担う「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)の整備を明記した。文化庁は来年度予算の概算要求でアニメアーカイブのデジタル化や専門人材配置の費用として9300万円を計上した。
背景には成長著しいコンテンツ産業の存在がある。文化庁によると、マンガやアニメ、ゲームなどのコンテンツ産業の世界市場は123・6兆円(2019年)で77兆円の半導体産業(22年)や89・9兆円の石油化学産業(同)を上回る。日本の市場は22年に13・1兆円で米国、中国に次ぐ世界3位だった。
マンガの原画やアニメのセル…