マンションの修繕積立金の運用に、関心が高まっています。物価が上がるインフレとなり、わずかな金利の普通預金に置いたままだと、目減りが進みます。住人から集めるお金は数千万~億円単位にもなりますが、管理組合はどう対応しているのでしょうか。
「今までほぼなかった相談が、去年から急増した」。大和証券の債券営業部の担当者はこう話す。
内容はマンション管理組合の資産運用に関する相談。以前からつきあいのある顧客や、管理会社経由の紹介など、全国から数十件以上が寄せられているという。
同社は運用に興味を持つ管理組合に対し、国債などの債券の特徴やしくみの説明会を住民向けに開いたり、運用に関する規定のたたき台を作ったりしている。
関心が高まる背景には、物価や金利の上昇だけでなく、修繕積立金不足という悩みがある。
10~20年ほどに1回取り組む大規模修繕工事に備え、管理組合は住人(区分所有者)からお金を集めている。長期にわたり金額が一定の「均等積み立て」と、金額を徐々に上げる「段階増額積み立て」の2方式が主流だ。新しい建物ほど、段階増額を採用している比率が高い。
国土交通省「マンション総合調査」によると、2023年度は1戸平均で月1.3万円。しかし、修繕計画で予定する額に対して残高が不足している管理組合が約4割、足りているかどうかの「不明」も約2割ある。
不足を解消するため、修繕積立金の値上げや支出の見直しに加えて、運用に対する関心が高まる。ではどんな方法があるのか。
記事後半では修繕積立金のおもな運用先とその特徴、意外な投資先を選んだマンションの事例を紹介しています。
国交省の調査で、銀行預金以…