公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査に入った業界大手「建装工業」の本社=2025年3月30日午後4時35分、東京都港区西新橋3丁目、高島曜介撮影

 マンションの大規模修繕工事で談合を繰り返した疑いがあるとして、公正取引委員会は30日までに、清水建設の完全子会社など工事業者数社を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査した。住民ら管理組合から委託を受け、工事業者の選定に関わる設計コンサルタント業者数社を調査していることも判明した。関係者への取材でわかった。

  • マンション修繕の発注先は「談合の検査対象」 住民「心身ボロボロ」

 公取委は4日に工事業者約20社に立ち入り検査を実施。今回の追加で、対象が大手ゼネコン子会社やコンサル側に拡大した。公取委は、修繕の適齢期を迎えるマンションが増える中、業界で数十年前から談合が続いて修繕費がつり上げられていたとみて、実態解明を進める。

 関係者によると、新たに立ち入り検査を受けたのは清水建設の完全子会社「シミズ・ビルライフケア」(東京都中央区)や業界大手「建装工業」(東京都港区)ほか数社。対象の工事業者は約25社になった。

 関係者によると、これらの工事業者は、マンション管理組合が発注した大規模修繕工事の見積もり合わせや入札で、事前に受注業者や受注額を決めていた疑いがある。工事業者が受注する過程に設計コンサル業者は関わっており、公取委は談合解明にコンサル側の調査が不可欠と判断した。

 修繕の専門的知識が乏しい住民が大半のマンション管理組合は、工事の適正な発注を期待し、業者選定のサポートなどを設計コンサルに委託することが多い。だが、コンサルが介在しながら、適正な選定がなされない事例が目立つという。公取委は、大規模修繕工事の市場規模が広がり、工事の人件費や資材費が高騰する中、談合でさらに不当に修繕費がつり上げられ、住民負担が増した恐れがあるとみている。

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