ミャンマーを舞台にした国際的な詐欺をめぐり、愛知県警は23日、タイ当局が拘束していた日本人の男2人について、移送中の航空機内で詐欺容疑で逮捕し、発表した。2人の認否を明らかにしていない。県警は、男らが2月に保護され帰国した愛知県の少年(16)と同じミャンマー東部の詐欺拠点から特殊詐欺の「かけ子」をしていたとみている。
捜査関係者によると、ミャンマー拠点の詐欺ではこれまでも逮捕者は出ているが、窃盗などいずれも日本国内での犯罪に関するもので、ミャンマーからの詐欺容疑の逮捕は今回が初めてという。
逮捕されたのは、いずれも住居不詳、無職の石川翔紀(32)、谷地智成(22)の両容疑者。県警によると、2人は1月、米国滞在中だった三重県鈴鹿市の男性の携帯電話に「マネーロンダリングで逮捕状が出ている。潔白を証明するために金が必要」などと警察官などをかたり、ミャンマーからうその電話をかけて、現金990万円を振り込ませ、詐取した疑いがある。
捜査関係者によると、2人は3月、タイ西部のミャンマー国境付近で、不法滞在の疑いでタイ当局に拘束されていた。2月に保護された少年は、県警の聞き取りに「詐欺に加担させられた」「他に日本人が同じ仕事をしていた」と説明。少年の供述や、渡航記録などの捜査から、少年と同じ拠点で男らが詐欺に関与していた疑いが浮上。2人は「闇バイト」に応募し、昨年12月にタイ経由でミャンマーに向かったとみられ、タイの警察当局とも情報共有しながら捜査は進められたという。県警は詐欺容疑で逮捕状を取り、4月23日、2人をバンコクから羽田空港に移送。日本の領空を飛行中の機内で逮捕した。
ある捜査幹部は「政情不安などに目をつけられ、ミャンマーが犯罪拠点に選ばれたのだろう。捜査で実態を明らかにしたい」と語った。