内戦や地震に見舞われるミャンマーで先月末、現地在住の日本人の家庭に難病を抱えた赤ちゃんが生まれた。何とか命を救いたい。国外で必要な手術を受けさせようと、日本人社会も立ち上がった。
北東部シャン州で活動する社会起業家の犬井智朗さん(32)。2017年にミャンマーに移住し、有機肥料の製造などを手がける「ボーダレス・ミャンマー・ファーティライザー」の代表取締役社長として、貧困下にある人たちの働き口をつくり、自立を支援してきた。
ミャンマーでは4年前の国軍のクーデター後、国軍と武装勢力の内戦が続いている。犬井さんは他に日本人がいない農村で肥料工場などを営み、紛争地からの避難民も含め数百人を雇用している。今年3月に起きたミャンマー地震では従業員らの家が倒壊するなどの被害があったが、サポートしながら事業を続けてきた。
犬井さんとミャンマー人の妻オウンミンさん(28)の間には先月27日、第3子の男の子、信君が生まれた。だが犬井さんによると、翌日になっても酸素飽和度の数値が低く、最大都市ヤンゴンの病院に約14時間かけて救急車で搬送された。医師からは、信君は心室をつなぐ血管が逆に接続される難病「完全大血管転位症」と診断された。
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