2021年2月のクーデターでミャンマーの全権を握った国軍は7月31日、統治の根拠としてきた「非常事態宣言」を解除したと発表した。国軍は年末から年明けにも総選挙を実施し、「民政復帰」を国内外に印象づける狙いがある。
憲法では、総選挙は非常事態宣言解除から半年以内に行うと規定される。国軍のミンアウンフライン最高司令官は「今年12月から来年1月に総選挙を行う」と明言しており、7月末で解除される公算が高まっていた。
だがミャンマー国内は国軍と武装勢力の内戦下にあり、不安定な情勢が続く。事実上の政権トップだった民主化指導者アウンサンスーチー氏(80)はクーデター時に国軍に拘束されたままで、同氏が率いた民主派政党の国民民主連盟(NLD)は実質的に解党に追い込まれている。次期総選挙では国軍系政党が勝つ公算が大きく、「新政権」も国軍主導になるとみられる。
非常事態宣言は21年2月1日のクーデター時に発令され、ミンアウンフライン氏に全権が委譲された。国軍はNLDが勝利した前年の総選挙で「不正があった」としてやり直す必要性があると主張し、クーデターを正当化した。