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ミャンマーから逃れてきたロヒンギャのヌルタズさん。第三国定住で米国に移住する予定だったが、米国の受け入れ制限の影響で延期になったという=2025年2月15日、マレーシア・ペナン、笠原真撮影

 国際的な難民危機を引き起こしたミャンマー国軍による少数派イスラム教徒ロヒンギャへの「掃討作戦」から、25日で8年が経つ。内戦の激化でロヒンギャを巡る状況は悪化。国連は先月、1年半で約15万人が新たに隣国バングラデシュに逃れたとし、「近年で最大規模」と報告した。

 ロヒンギャはミャンマーで「不法移民」とされ、迫害を受けてきた。2017年、ロヒンギャの武装組織が警察署などを襲撃したことで、国軍は掃討作戦を開始。70万人以上がバングラデシュに逃れた。

 近年、ロヒンギャが多く住むミャンマー西部で仏教徒系の少数民族武装勢力と国軍の戦闘が激しくなり、ロヒンギャも攻撃に遭ってきた。コモロッディンさん(37)は昨年、家族でバングラデシュに逃れた。「故郷を捨てるのはつらい」

 国連によると、バングラデシュにいるロヒンギャは約115万人。大半が難民キャンプで暮らすが、国際社会の支援減少で生活は困窮する。

 年初にトランプ米大統領が自国の難民受け入れを制限した問題も、ロヒンギャに波及している。

 9歳でミャンマーを逃れ、マレーシアに住むヌルタズさん(22)は、年内にも第三国定住制度で米国に移住予定だった。だがトランプ氏の制限表明後に制度の関係機関から「無期限延期」の連絡を受けた。「米国でようやく市民権を得られたかもしれないのに、夢が消え去った」と話す。

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