ミャンマーを舞台にした国際的な詐欺では、日本から渡航した高校生の少年2人が保護され、帰国した。現地では、特殊詐欺のうその電話をかける「かけ子」をさせられていたとみられる。捜査関係者らへの取材から、渡航の経緯が明らかになってきた。
宮城県の少年(17)が渡航するきっかけはオンラインゲームだった。ゲームで知り合った日本人の男(29)から「むこうに行くと良い仕事がある」などと誘われ、1月上旬に1人で家を出た。家族から行方不明届を受けた警察が捜査した結果、成田空港へ行って、そこからタイ行きの飛行機に乗ったことがわかったという。
少年の航空券は男が用意したとされ、男も同じころタイに渡航したとみられる。少年はミャンマーへ密入国させられ、詐欺の拠点のホテルでかけ子をさせられた。マシンガンで武装した監視役がおり、ほかに10人ほどの日本人がいたという。
日本側がタイ政府に少年の存在を伝え、タイがミャンマー側に働きかけた結果、解放、保護されたという。少年は渡航から約10日後に帰国した。少年を誘い、渡航の段取りをしたとみられる男はタイ当局が拘束。日本の警察は、所在国外移送目的誘拐などの疑いがあるとみて捜査し、移送にむけた対応を進める方針だ。
愛知県の少年(16)はネットでやりとりしていた相手から昨年11月ごろ、「海外で特技を生かせる仕事がある」と誘われた。自分で取得したパスポートを使い、相手が用意した航空券で12月に中部空港からタイに1人で渡航。車で移動し、ボートに乗り換えてミャンマーに入国させられた。警察官などをかたる詐欺に加担させられ、1日10時間ほど「かけ子」をし、報酬を受け取っていたという。ノルマが課され、達成できないとスタンガンで暴行される環境下だった。2月になり家族に「ミャンマーにいる。助けてほしい」と連絡し、日本政府の要請の結果、解放され、タイ当局が保護。2月16日に帰国した。
また、日本側がタイ当局に対…