ミャンマー最大都市ヤンゴン市民の4割以上が貧困状態にある――。国連開発計画(UNDP)は先月、報告書で公表した。国軍が全権を握った4年前のクーデター、内戦、地震。経済が疲弊する中、市民はどんな暮らしをしているのか。
ヤンゴンの人口は約620万人。観光名所の仏塔や国際空港があり、国内に約340社(日本貿易振興機構調べ)ある日系企業の多くが拠点を置く経済の中心地だ。
ただ、4800人を調査したUNDPは、23年時点で人口の約44%にあたる270万人が貧困下にあると推計。大阪市の人口に匹敵する規模で、10%だった17年から急激に増えた。国軍と抵抗勢力の内戦、電力不足や国軍が強いる為替規制などが経済を悪化させてきた。
報告書で最も貧困層が多いとされたヤンゴンのフラインタヤ郡区では6月中旬、悪臭が漂うゴミ集積場でテッさん(26)がビンやプラスチックを探していた。1日50キロ分拾えば2万チャット(実勢レートで約600円)で売れるといい、この「仕事」を始めて6年という。
少年の姿もあった。UNDPによると、最貧困層では子どもの4割弱がゴミ拾いや物乞いで家計を支える。道路では昼夜を問わず、車に顔を近づけてお金を乞う子どもの姿が見られる。
同郡区の縫製工場で働くミャ…