ミャンマー東部で続いていたミャンマー国軍と武装勢力の戦闘を巡り、武装勢力側が11日、タイとの国境貿易の要衝ミャワディにある国軍の拠点を全て占拠したと発表した。国境では、タイ側に逃げようと避難民が殺到している模様だ。
少数民族武装勢力「カレン民族同盟(KNU)」と民主派の合同勢力は、3月上旬からミャワディ周辺で国軍への攻撃を強めてきた。KNUは11日、SNSの声明で「国軍の拠点を完全に奪った」とし、国軍兵士がタイ国境の「第2友好橋」付近に逃げていると説明した。
ロイター通信は11日、民主派勢力の報道官が「国軍の拠点を全て取ったことは重要な勝利だ」と語ったと報道。AFP通信によると、タイの国境当局者も「ミャワディは陥落した」と述べたという。
ミャワディ市内の男性(30)は同日、朝日新聞の取材に、「ここ数日間は爆発音が頻繁に聞こえたが、今朝までに収まったようだ」と話した。混乱を避けようと、タイ側への避難を希望する人が国境に押し寄せているという。「国境には連日1千人以上が並んでいる。船で川を渡り、不法入国する人も多い」と語った。
ミャワディはミャンマー最大都市ヤンゴンに近い両国貿易の拠点で、ミャンマー商務省によると2023年度の総貿易額は約11億ドル(約1700億円)。両国の国境貿易額の4分の1を占めていた。(ヤンゴン=笠原真)