新海誠監督のアニメーション映画「すずめの戸締まり」の舞台の一つとして描かれ、「聖地巡礼」の観光客らが訪れる愛媛県八幡浜市には、1日3回、平和を象徴する音色が流れる。
「♪プーププ プププープ」
午後6時、九州と結ぶフェリーの発着港がある市中心部に、「夕やけこやけ」のメロディーが響いた。
午前6時には、古賀政男作曲の「八幡浜漁港の歌」、正午には「みかんの花咲く丘」のメロディーが港町に響く。
どこか郷愁を誘うメロディーは、定時を知らせるミュージックサイレンだ。
音源は、市民の散歩コースとなっている愛宕山に設置された音響機器で、ヤマハ製。圧縮した空気を断続的に放出し、サイレンの音を音階にしてメロディーを奏でる仕組み。大がかりな楽器ともいえ、数キロ先でも聞こえる。
設置されたのは1993年2月。背景には、戦争の傷痕があった。
市によると、以前は時報用の…