馬200頭分の尻尾が使われた熊野筆。全長3.7メートル、重さ400キロ。3人がかりで作ったという=2024年3月6日午後1時22分、広島県熊野町中溝の「筆の里工房」、根本快撮影
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 「なでしこ」たちのほおも彩った?――。筆の生産日本一を誇る広島の熊野筆は、書や絵だけでなく、化粧用の筆としても人気を集める。サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が国民栄誉賞を受賞した際には、記念品として贈られた。

 産地の広島県熊野町では、町民の1割にあたる約2千人が熊野筆に関わる仕事に就いているという。そんな熊野筆をPRしようと町が建てたのが、博物館「筆の里工房」。熊野筆の歴史や生産技術を学べるほか、常駐する伝統工芸士による筆づくりの様子も見学できる。記者が訪れ、筆づくりを体験してみた。

11本セットで4万円超の化粧筆も

 書筆の毛の部分「穂首(ほくび)」には、何種類もの動物の毛が使われる。ヤギや鹿、タヌキなどの毛をまぜて成形した塊に、手触りの良い馬の胴の毛を巻いて糊(のり)付けする。「衣毛(ころもげ)巻き」と呼ばれる作業で、有料で体験できる。

 伝統工芸士の南部豊彦さん(…

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