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 ロシア連邦捜査委員会は17日、モスクワのリャザンスキー通りで同日朝に爆発があり、ロシア軍のイーゴリ・キリロフ中将ら2人が死亡したと発表した。首都で軍幹部が殺害されたことは、ウクライナ侵攻を続けるプーチン政権への打撃となる可能性がある。

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 キリロフ氏はロシア軍の生物・化学兵器などを担当する「放射線・化学・生物学防護部隊」のトップ。住宅の玄関付近にあった電動キックボードに爆弾が仕掛けられており、同氏の補佐も死亡した。

 ロシア国営タス通信は当局の情報として、爆弾はキリロフ氏が出てきた玄関に向けて設置され、遠隔装置で起爆された、と伝えた。ロシアメディア「マッシュ」は、数日前から近くに止めてあったカーシェアリングの車の中から、布で包まれたカメラで監視していた、と伝えた。連邦捜査委員会はテロ容疑などで捜査を始めた。

 ロイター通信のほか、「キーウ・インディペンデント」や「ウクライナ・プラウダ」といった複数のウクライナメディアは同日、キリロフ氏の殺害について、ウクライナ保安局(SBU)が関与したと報じた。事実であれば、ロシアがウクライナに対してさらに激しい攻撃を行うおそれがある。

 SBUは16日、「ウクライナ軍に対する化学兵器の使用を命じた」として、ウクライナの刑法に基づき、キリロフ氏を戦争犯罪の容疑者として発表したばかりだった。ロイターなどによると、SBU内の関係者は「キリロフは戦争犯罪人であり、まったくもって正当な標的だ」と語ったという。

 ロシア下院国防委員会のジュラブレフ第1副委員長はノーボスチ通信に、「殺害が、ウクライナ情報機関により実行されたことを疑う人はほとんどいない」と言及。ロシア国防省に近い軍事ブロガー「ライバー」は、「戦争は(ウクライナ東部)ドンバス地方であるわけではない。ロシア軍幹部全員が標的になる」と警告した。

 キリロフ氏はウクライナ侵攻後、40回以上の記者会見を開き、米国がウクライナなどで生物兵器の研究をしており、ウクライナも化学兵器の準備をしているなどと、一方的に主張してきた。

 米英両政府などによると、キリロフ氏が監督する部隊は、催涙ガスのような作用をもたらす農薬「クロルピクリン」をウクライナで使用していたとされる。英国は10月、キリロフ氏を制裁対象に指定していた。

 また、生物・化学兵器に関するロシアのプロパガンダを発信する立場でもあり、英政府は「ロシアの恥ずべき、危険な行為を覆い隠すためにウソを広める、クレムリン(ロシア大統領府)の重要な代弁者だ」と指摘していた。

 ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以降、モスクワでは、ウクライナ軍によるドローン(無人機)攻撃などが起きている。また、ロシア軍関係者を狙った事件では、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島で今年11月、黒海艦隊幹部が車に仕掛けられた爆弾により死亡した。昨年4月には、侵攻支持の戦場記者がサンクトペテルブルクのカフェで爆殺された。

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