海の生態系を維持しながら、海洋資源を持続的に利用する「ブルーエコノミー」を実現させようと、地中海の小国モナコの慈善団体が積極的な投資に乗り出している。海洋国でもある日本との連携も視野に、財団の幹部が6月末に来日、朝日新聞のインタビューに応じた。
来日したのは、「アルベール2世公財団」のオリビエ・ウェンデン最高経営責任者(CEO)。財団は、国家元首のアルベール2世公のもと、環境保護と持続可能な開発の推進を目的に2006年に設立された国際的な非営利団体だ。
ウェンデン氏は人類の直面する三つの危機を「気候変動、生物多様性の喪失、化学物質やプラスチックによる汚染」だと話す。
世界で対策を取るための枠組みができたり、国際ルールが話し合われたりしている。「環境に関しては、世界は正しい方向に向かっている。ただ、遅すぎる。ソリューションを広める規模やスピードを高めなければならない」
財団は世界有数の慈善団体だ。スタートアップなどに投資することで、海洋汚染対策や生態系保全などの加速と拡大を実現させようとしている。
とはいえ、限られた財源で、どうやって社会にインパクトをもたらせるか。重要になるのが、産業や金融機関といった民間企業との協力だ。
もともと海洋科学や保護に力…