大阪府・上野富夫さん(74)からの質問
ののちゃん この前、家の中でヤモリを見かけたよ。天井にくっついていたんだけど、落ちちゃうことってないのかな?
藤原先生 たしかに、ヤモリはツルツルした窓や垂直の壁にぴたっとくっついているね。でも、ヤモリはカタツムリのように粘液を出していたり、タコのように吸盤で貼り付いていたりするわけではないんだ。足の裏はさらさらとしていて、分泌液のようなものが壁をつたった跡がついていない。生き物によって、くっつく方法はいろいろあるんだよ。
のの じゃあヤモリはどうやってくっついているの。
先生 ヤモリの足裏の指先には「趾下薄板(しかはくばん)」という器官があるんだ。電子顕微鏡で観測すると、その趾下薄板の表面には、マイクロメートル(1千分の1ミリ)サイズの剛毛が生えている。さらに、これらの剛毛の先は、ナノメートル(100万分の1ミリ)サイズの細い毛に枝分かれしている。指先には10億本もの毛があるともいわれているよ。
のの この細い毛がどうやって壁にひっつくの?
先生 実は、壁や窓の表面は原子レベルで見るとツルツルではなく凸凹している。その凸凹の壁とヤモリの細い毛が接すると、その間に「ファンデルワールス力」という力が働くんだ。
のの なに、その力?
ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。science@asahi.com
先生 ファンデルワールス力…