Smiley face

 大人にかわって家族の介護や世話を過度に担う「ヤングケアラー」。研究や支援が世界で最も進んでいるとされるイギリスの専門家を招いたシンポジウムが立命館大学朱雀キャンパス(京都市中京区)であった。ヤングケアラーだけでなく、家族全体への支援の重要性について説明した。

 日本では昨年、ヤングケアラーが「国や地方公共団体などが支援に努めるべき対象」と法律で定められた。シンポジウムは昨年12月に開かれた。

写真・図版
ヤングケアラー研究について講演するソール・ベッカー教授=2024年12月6日、京都市中京区、北村有樹子撮影

 ヤングケアラー研究の世界的な第一人者とされるマンチェスター・メトロポリタン大学のソール・ベッカー教授は、30年にわたる研究から分かったことを講演した。

 ヤングケアラーの正確な人数を把握するのは難しい。イギリスでは、世帯主に聞く調査でヤングケアラーの割合は2~3%だが、子どもへの調査では10%と約4倍に増えるという。

 ヤングケアラーには「成熟していて、マルチタスクを担える」といったポジティブな面がある一方、ケアをすればするほどネガティブな影響が大きくなる。親から依存されているため、進学をあきらめたり、仕事を妥協したり、自分の家を持てなかったりすることがある。「ヤングケアラーの多くがまだ見えぬ存在で、支援・介入することで彼らを変えられる」

写真・図版
ヤングケアラー研究について講演するソール・ベッカー教授=2024年12月6日、京都市中京区、北村有樹子撮影

 また、学校は「ケアから解放…

共有