軍艦島と呼ばれる端島=2024年9月30日、長崎市、朝日新聞社ヘリから、小宮路勝撮影

 長崎市の端島炭坑(軍艦島)などからなる世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を巡り、パリで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は7日、負の歴史に関する日本の取り組みを再点検するよう求めた韓国側の訴えを退けた。

 この遺産を巡っては、朝鮮半島から連行された労働者について、2015年の世界遺産登録時に、日本側が「犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を取る」と表明。20年には東京都内に展示施設「産業遺産情報センター」を設立したが、21年にユネスコの同委員会は、展示説明が不十分として「強い遺憾」を示す決議を採択。その後、展示施設に端島炭坑の犠牲者の追悼空間が新設された経緯がある。ユネスコの委員会は23年にその後の日本側の対応を一定評価し、「対話継続」を求める決議を出していたが、今回の委員会で韓国側は、改めて日本の取り組みの点検を求める議案を提出していた。

 韓国外交省の報道官は8日の定例会見で、結果について遺憾の意を表明し、「今後も日本が約束を誠実に履行するよう要求していく」と述べた。さらに、政府は歴史問題について自らの立場を明確にしていくとしたうえで、「日本側と相互信頼の下で未来志向的な協力を続ける」とも述べた。

 聯合ニュースは韓国政府のこうした姿勢について、歴史問題と協力とを切り分けて対応する李在明(イジェミョン)政権が対日外交の基調を続けていくことを示唆したものと指摘した。

 一方で聯合ニュースは、日韓間に不協和音が蓄積されれば、こうした対応が難しい状況になる懸念もあると伝えた。

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