大阪府富田林市の美具久留御魂神社にある朝鮮通信使を描いた絵馬。淀川の通信使ルートから離れた場所でも、民衆の関心が高かったことを示す資料という=石合力撮影

 江戸幕府への外交文化使節団として朝鮮国から派遣された朝鮮通信使に関わる書画工芸品などを一堂に集めた「朝鮮時代の通信使特別展 心の交わり、余韻は波の如(ごと)く」が25日から韓国のソウル歴史博物館で開かれる。

 在日2世で在野の研究者、映像作家として通信使に関する資料や美術品の収集、調査に当たった故・辛基秀(シンギス)さん(1931~2002)の関係者らが、日韓国交正常化60周年を機に2年前から企画した。

 首都ソウルでの展示は1986年にソウル国立中央博物館で開かれた特別展以来39年ぶり。2017年に「朝鮮通信使に関する記録」としてユネスコ「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録された書画など24件30点を含む日韓双方の111件128点が展示される。

 所有者と関係者によると、淀川を船で移動する際に使われた御座船を描いた絵馬(大阪・美具久留御魂(みぐくるみたま)神社)、富士山を背景に江戸での通信使行列を描いた「朝鮮通信使来朝図」(個人蔵)などが韓国で展示されるのは初めて。通信使の詩文85編を4軸の巻子に仕立て、記憶遺産にも登録された「韓客詞章(かんきゃくししょう)」(京都・相国寺慈照院)は首都ソウルでの展示は初めてという。

「庶民が納めたこの絵馬を通じて日韓の友好がさらに深まればと思う」と話す美具久留御魂神社の宮司青谷忠典さん=石合力撮影

 絵馬は、天和2年(1682…

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