埼玉県深谷市にキャンパスのある埼玉工業大学の「オリジナリティーが詰まった一本」という触れ込みの日本酒「瞬喜道」(300ミリリットル、税込み720円)が27日、深谷市内で100本限定で販売された。
「瞬喜道」は地元農家と酒造会社の協力の下、2012年に始まった地域連携を目指す同大の「米と日本酒プロジェクト」活動をする学生が酒米の田植えから仕込みまで携わるロングセラー商品。そして新たに深谷特産の花であるユリの茎からつくった和紙を首掛けラベルに使用した。
和紙の原料となる繊維質をユリ茎から抽出する技術は同大の本郷照久教授の研究室で開発され、実用化第1号の商品が今回の首掛けラベル。研究室の学生の指導を受けてプロジェクトの学生が和紙をすいた。商品デザインなどが専門の山路康文教授は3Dプリンターやレーザーカッターを駆使し、「瞬喜道」の味のある文字スタンプを完成させた。
販売会は市内にある映画館「深谷シネマ」の中庭で行われた。学生や大学職員が「埼工大のお酒ですよ」「ラベルはユリの茎からつくりました」などと声をあげると、映画を見終わった人々が次々と買い求めた。本郷教授は「こうした機会を重ねてユリ茎和紙の認知度を高めていく。市内の子どもたちから新商品のアイデアも募ってみたい」と話していた。
ちなみに「瞬喜道」という名前はプロジェクト1期生が考えた。学生生活の一瞬一瞬を楽しく生きたいという思いに、学生の本分の学びの時間を「道」で表したという。