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アラブ調査報道記者団作成

 中東パレスチナ自治区のヨルダン川西岸は、イスラエルによる占領が続いています。占領による環境破壊を伝える、ヨルダンが拠点の非営利の報道機関、アラブ調査報道記者団(ARIJ)の記事を紹介します。

かつての自然保護区にブルドーザー

 ジャバル・アブ・グネイムは、エルサレムから南へ約8キロ、ベツレヘムへ向かう途中にある、かつての自然保護区だ。地元の人々は、森に覆われた丘陵地帯でハイキングを楽しんだり、キノコを採ったりしていた。

 自然保護区であるため、木を伐採することは法律で禁じられていた。しかし1997年、イスラエル政府は開発を可能にした。間もなく、ブルドーザーがかつての保護区の植生を伐採し始め、コンクリート建造物が建てられた。現在では推定3万人のイスラエル人入植者が住む。

 保護された緑地が強制的に占拠された居住地へと変貌(へんぼう)を遂げるのは、ここに限ったことではない。ARIJの調査によると、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区の8カ所で、ほぼ同じパターンが見つかった。パレスチナ占領地における入植地の建設や既存の入植地の拡大を違法とする国連決議があるにもかかわらず、だ。

 ARIJの分析によると、その結果、パレスチナの森林面積は、70年の約321平方キロから、2023年には約246平方キロに減少した。パレスチナ農業省メディア・国際広報局長のマフムード・ファタフタ氏によれば、現在、ヨルダン川西岸とガザで森林に覆われているのはわずか4%だという。

 ファタフタ氏は「新たな入植…

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