次世代半導体の国産化をめざすラピダスの北海道千歳市での試作が今春に迫るなか、道内の学校が、半導体の人材育成を本格化させている。旭川工業高等専門学校(高専)は、学科を再編する。北海道大学も新たに拠点を整える。課題を乗り越えて、人材は根付くか。
「半導体の検査や計測には電子顕微鏡を用います。電子顕微鏡は、何を見たいかによって条件設定が異なり、自由度が高い分、おもしろいです」 半導体製造装置メーカーの日立ハイテク(東京)の技術者、酢谷拓路(すたにたくみち)さんが今年1月、旭川高専の教壇に立った。4、5年生が学科に関係なく半導体の知識を学べる「半導体概論」の授業として、受講を選択した28人に半導体製造過程における電子顕微鏡の技術や使い方を説明した。
授業を受けたシステム制御情報工学科4年生の田中佳里奈さんは「半導体をつくる上で電子顕微鏡が必要だということを初めて知った。ラピダスが来るし、半導体分野はかっこいいと思っている。就職先として興味をもっています」
もともと半導体に詳しい教員が多かった旭川高専は、2023年2月にラピダスが道内進出を発表すると、「専門知識と実践を強みとする高専の教育が再評価される時が来た」(篁(たかむら)耕司副校長)として、半導体の強化にいち早くかじを切った。
発表から8カ月後、半導体受託生産の世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」の熊本進出を受け、熊本や佐世保の高専が先行して作成した半導体教材も参考にしながら、4、5年生向けの一般選択科目「半導体概論」の開講にこぎ着けた。
「半導体」前面に学科刷新 北大には新拠点
26年度には、学科再編に踏…