岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町でリニア中央新幹線のトンネル工事により水位低下が続いている問題で、JR東海は3日夜、住民説明会を開き、現在進めている水位低下を止めるための湧水(ゆうすい)対策工事を中止すると発表した。鹿児島県内のトンネルで昨年7月に崩落事故が起き、「将来、トンネルが損傷するリスクがある」と判断したという。
3日夜、大湫町で開かれた住民説明会では、JR東海が湧水対策工事の中止を決めた経緯や、地域の新たな水源として整備を進める井戸や水源地について説明した。JR東海の担当者は報道陣に対し、「地域の皆様には簡単には受け入れられない部分があるかと思いますが、ご理解をいただきたいと思います」と話した。
大湫町では、昨年2月から井戸やため池などで水位低下が確認された。現場近くの日吉トンネルの工事で湧水が発生しており、JR東海は「(水位低下は)工事の影響による可能性が高い」と発表。昨年5月から日吉トンネルの掘削工事を中断している。
掘削工事中断後、JR東海は湧水を止めるための対策工事を始めた。
まず、岩盤の亀裂を埋めるためのウレタン系薬液を注入。さらに追加でトンネルの周囲をセメントなどで覆う作業(カバーロック)を行い、その後、粒子の細かいセメントを圧力をかけて注入する「本注入」と呼ばれる作業に進む計画だった。
地下水位「元の状態は望めず」
ところが昨年7月、日吉トンネルと同様の工法を採用していた鹿児島県の北薩トンネルで、コンクリートの内壁が崩落する事故が発生した。
この崩落を受け、JR東海は…