Smiley face
写真・図版
報道陣の取材に応じるJR東海の杉浦禎信・中央新幹線建設部名古屋建設部担当部長(右)=2024年7月23日午後9時21分、長野県飯田市上郷飯沼、佐藤仁彦撮影

 開業時期の遅れが問題になっているリニア中央新幹線の工事について、JR東海は23日夜、長野県駅(仮称)の建設予定地となっている飯田市で住民説明会を開き、県駅の工期が当初の予定より5年9カ月延びて、2031年12月となる見通しだと明らかにした。

 同社は27年としていたリニア新幹線の開業予定を断念。開業は34年以降にずれ込む見通しだ。

 23日の説明会には地元住民ら約40人が集まった。JR東海の杉浦禎信・中央新幹線建設部名古屋建設部担当部長は「皆さまのご期待を裏切る形となった。大変申し訳ない」と頭を下げた。

 県駅の工期が延びる理由については、用地取得の手続きや埋蔵文化財の調査、工事に伴う道路などの付け替えを調整する協議が長引いているためだ、と説明した。

 県駅を巡っては、飯田市が約91億円をかけて、駅の周辺にイベント会場や駐車場として使える「駅前広場」の整備を進めている。

 この日の説明会には同市の担当者も出席し、リニア本線沿い以外の部分では駅前広場の整備を27年度末までに完成させ、28年度以降に部分供用を始める方針を示した。

 説明会に参加した北条まちづくり委員会の波多野実会長(72)は「工期が遅れるのは仕方ないが、もう少し早く住民に知らせることはできたのではないか。重機の音や土ぼこりが日常茶飯事という生活は早く終わりにしてほしいので、これ以上遅れないようにしてほしい」と話した。

 同社によると、長野県内で着工済みのリニア工事のうち、当初より工期が遅れると発表されているのは、大鹿村の南アルプストンネル長野工区など4カ所。県駅の工事で5カ所目になるという。(佐藤仁彦)

共有