フランスのサルコジ元大統領(70)が初当選した2007年の大統領選でリビアの独裁政権から選挙資金を不正に受け取ったとされる汚職事件の公判で、仏検察は27日、サルコジ氏に禁錮7年と罰金30万ユーロ(約4900万円)を求刑した。サルコジ氏は「真実のために全力で闘い続ける」と無実を訴えている。
事件をめぐっては、サルコジ氏が当選した07年の大統領選でリビアの独裁者だった故カダフィ大佐側から選挙運動のために5千万ユーロ(約81億円)の提供を受けることに合意していたと明らかにした仏メディアの調査報道などをきっかけに、仏司法当局が13年に捜査を開始。起訴までに約10年かかった。
AFP通信によると、検察は27日の論告求刑で、サルコジ氏についてリビア側との「汚職協定」の決定権者だったと指摘。「権力のために誠実さや正直さという基本的な価値を犠牲にできる貪欲(どんよく)な野望に駆られた男の姿が浮き彫りになった」と非難した。
サルコジ氏は公判で一貫して無実を主張。SNSに投稿した声明で、「3カ月に及ぶ公判の結果、私の選挙運動でリビアとつながりのある現金が一切使われていなかったことが判明している」と訴えた。
仏メディアによると、カダフィ氏側は選挙資金の見返りに、孤立状態にあったリビアの国際社会への復帰の後押しなどを求めたとされる。カダフィ氏は07年12月、大統領に就任したサルコジ氏の招待で、34年ぶりにフランスを訪問した。仏検察によると、カダフィ氏側はリビアの市民を監視する手段や原子力発電所の開発支援なども求めていたという。