今月2日にあったプロボクシング興行に出場した神足(こうたり)茂利、浦川大将(ひろまさ)の2選手が、試合後に急性硬膜下血腫で死去した。
この2年間で日本のリングでは、4人が急性硬膜下血腫となり、3人が死去し、1人はまだ意識が回復していない。競技の存続が危ぶまれる異常事態に、試合を管理する日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛・本部事務局長に対応策を聞いた。
――重大事故が続いている。
試合を管理する立場で責任を痛感している。ありとあらゆる手段を施していきたい。
1952年にJBCが発足してから、約40人がリング禍で亡くなっている。後遺症で苦しんでいる選手もいる。
根源的に頭部に打撃を与えるスポーツで、危険性を内包している。19世紀にイギリスでクイーンズベリールールができて、1ラウンド3分で1分休む、グローブをつける、ダウンして10カウントで立てなければノックアウトなどの決まりができた。1910年代は、選手の健康管理や不正試合、八百長防止のためにコミッション制度ができた。
ボクシングは、スポーツとして昇華するために、これまでいろんな装置や仕組み、ルールをつくり、危険性を取り除いてきた。今、再び岐路に立っている。
- 対策が難しいボクシング「リング禍」 ダメージの蓄積が原因ではなく
――一度、国内興行を止める可能性もある?
次の事故が起きたら、止めなければいけないだろう。本当は、今すぐにも止めないといけないのかもしれないが。
――どのような対策を考えている?
医学的に、何が原因で硬膜下血腫が頻発しているかはわかっていない。今は、できることをすべて、やっていくしかない。
選手がリングに上がる前のリスクマネジメント、事故が起きてしまった後のクライシスマネジメント、そして根源的な原因は何なのかを究明するためのデータ収集、研究を予定している。
――具体的には?
十数年間、起きていなかった重大事故が、この1、2年で立て続けに起きた理由は何かを考える必要がある。
ここ数年の日本ボクシング界…